MasaichiYaguchi

BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアントのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.3
スティーヴン・スピルバーグが久し振りにファンタジーに帰って来た。
本作の原作者は、今年で生誕100周年を迎えるイギリスの児童文学作家で、「チャーリーとチョコレート工場」で知られるロアルド・ダール。
映画は、ヒロインの少女ソフィーが暮らす児童養護施設のあるロンドンと、彼女が連れ去られてしまう「巨人の国」を舞台にファンタスティックに繰り広げられていく。
初めはソフィーを連れ去った巨人は恐ろしい存在として描かれるが、ストーリーが進むにつれ彼の優しさが滲み出てくる。
巨人と人間、老人と少女、見た目も性格も違うが2人は孤独で、この出会いから少しづつ心を通わせていく。
少女から“BFG”と呼ばれるこの巨人の日課は、夢を集め、それを子供たちに届けること。
映画では、その夢の数々を美しく幻想的な映像で表現する。
本作ではこの2人や子供たちを脅かす存在が登場して、この存在を巡る後半から終盤にかけての攻防が、予想外の“活劇”で繰り広げられる。
このファンタジーの世界とはそぐわない“活劇”に違和感を覚える人もいるかもしれない。
先日、本作のプロモーションで来日したマーク・ライランスがモーションキャプチャーで演じたBFGは、表情や仕種だけでなく彼の人柄まで反映されていて親しみを覚える。
そして両親を亡くして児童養護施設で暮らす、好奇心旺盛で気の強い少女ソフィー役のルビー・バーンヒルがキュートで魅了される。
同じ世界で共存出来なそうな2人はどのような結末を迎えるのか?
スピルバーグ監督のファンタジーの名作「E.T.」同様、本作で描かれたテーマは「違いを受け入れること」だと思う。
人は十人十色で、自分の“枠”から外れたものを排除しがちだが、互いの相違点を認め合い、尊重し合う理想像をソフィーとBFGとの関係に込めていると思う。