キャッチ30

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のキャッチ30のレビュー・感想・評価

3.9
撃つべきか、撃たぬべきか。ボタン一つで標的を殺せるが、被害は大きい。標的か目の前の少女が優先か。正解は見えない。

ケニアでイスラム系過激派組織の会合がある。そのメンバーを捕獲することが目的だが、危険区域の為、迂闊に突入できない。そこで、作戦本部は爆撃機ドローンでの空爆作戦を決断する。しかし、付近にパンを売っている少女がいる。作戦本部、司令部、操縦士のそれぞれが葛藤する。

この映画の優れている点はひたすら繰り返される議論だろう。目の前の脅威を排除するべきか一人の命の為により多くの人々を犠牲にするか。簡単に割り切れない。米国側の役人の描き方が極端すぎるが、この緊張感は半端ない。

もう一つはドローンというガジェットを用いていることだ。凶器になる爆撃機型だけでなく、鳥形や虫型という監視タイプのドローンが上手く描かれている。抑止力であるはずの兵器が甚大な被害を引き起こす。大きな矛盾だ。

本作は最新兵器を用いたポリティカル・スリラーだ。アラン・リックマンの遺作でもある。