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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のcatmanのレビュー・感想・評価

4.0
ネタバレあります

良作!
抑制が効いた演出、無駄がない脚本と100分強という丁度良い尺、ドローンが映し出す映像の中はほぼワン・シチュエイションながら、登場人物はそれぞれ離れた別の場所に居て舞台が転々と変わるのが良い。俳優陣も総じて良い。戦争は単純な善悪二元論では語れないというメッセージ自体はいつも通りで目新しくはないものの、この映画は一味違う。観客をパン売りの少女の命を助けたいと祈るような気持ちにさせておいて、ラストで思い切りカウンターを食らわせて来る。土壇場で機銃を捨て去り人間主義を見せるテロリストチーム。米軍の攻撃で幼い娘を失くしたあの父親はその後テロリスト側に転じるかもしれない。観客の心情を代弁するかの様に涙を流しながらチート気味の軍のやり方を卑怯だと批判する役人にガツンと厳しく言い放つアラン・リックマンの言葉(ええ声)に考えさせられる。
Never tell a soldier that he doesnt know the cost of war.

だからと言って軍の行為が正当化されるわけではないんだけど。エンドクレジットのフラフープで遊ぶ少女の映像が美しく見事な撮影。

それにしても毎度のことながら、『世界一安全な戦場』などという的外れな副題を付ける配給会社のマーケティングセンス。パッケージ(ポスター)デザインも説明的過ぎてダメ。「期待しないで観たら良かった」「予想と違った」という感想が多いのはその辺りも大きな理由なのでは。私もそのひとり。
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