Lazy

君の名は。のLazyのネタバレレビュー・内容・結末

君の名は。(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

設定が突飛過ぎてどのようなスタンスで観たらよいのか困ってしまう。
SFとして観れば、中々斬新なタイムトラベルものと言えるかもしれない。
しかし、それならそれで詰めが甘い。
瀧が生きていた世界では糸守町は過去に隕石の落下によって多くの犠牲者を出していた。
ところがいつの間にか偶然避難訓練が行われていたため、多くの命が助かったことになっており、いわゆるパラレルワールド的な展開を見せている。
瀧と三葉は、超常現象的あるいは夢のパターンで「忘れちゃった」ということになっているが、友人のテッシーとサヤカはそうはいかないだろう。発電所の爆破まで行っているのだから忘れちゃったでは済まされない。一緒に探しに行った先輩や瀧の友人、ラーメン屋の親父の記憶はどうすんだ。
もちろん、SF的アプローチを施した恋愛モノとして観る事もできる。
しかし最後はいただけない。なぜならば、瀧も三葉も再会を果たしたものの以前のできごとや、出会い、町の人を救うための頑張りなどすべて忘れちゃっているので、巡り合ったとしても過去の答え合わせができないわけで、それなら新たに出会ったのとさほど変わらない。

設定についてぐだぐだ言っても、そこは新海監督なので、天気の子の時のように「こっちはそんなの全部わかっててエンタメを提供してんの」と言われてしまうのでしょう。
振り返って読んでみると、天気の子のレビューでも自分は「私たちの日常が見事に描写された中に あり得ない非現実的な設定が入ってくるのでどういう見方をしたら良いのか迷います。」と書いていました。新海作品を観ると私はきっと毎回そう感じるのだろうな。

今回2回目の鑑賞なのだが、2回目でも次に起こることへのワクワク感は十分感じられる作品であります。その一方で、繰り返し観ることにより設定の甘さ、粗さがやたら気になってしまうのです。
それから、おばあちゃんとお父さんは三葉の入れ替わりに気が付いていたが、あの辺をもう少し展開させて欲しかったかな。
そして、序盤のレストランのシーンで質の悪い客が出てきますが、ああいう輩は懲悪しないとすっきりしませんねぇ。

追記: 半村良の小説で「産霊山秘録」というタイムトラベルものがあります。パクってますかね。
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