風の旅人

何者の風の旅人のレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.0
就職活動はしたことがないので、その大変さはわからないが、彼らの人間関係に既視感を覚えた。
本音を隠し、上辺だけの会話に終始し、snsで心情を吐露する。
ある人物のツイッターの裏アカウントでのつぶやきを我々は批判することができない。
なぜなら誰もが「本音と建前」を使い分けて生きているのであり、それは昔も(sns全盛の)今も変わらないからだ。
むしろsnsがなかった時代の方が、本音が見えなかったのではないだろうか?
この映画はそんな人間存在の普遍的なあり様を顕在化させる。
誰もが抱える他者に対する嫉妬や承認欲求という感情が見事に描き出されていた。
「何者」かになることを願い、しかし「何者」にもなれず燻っているすべての人が身につまされる。
その人の人間性は140文字や1分間では表現できない。
人生という舞台で、今日も我々は自分を演じている。
風の旅人

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