安堵霊タラコフスキー

白い風船の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

白い風船(1995年製作の映画)
4.8
キアロスタミの脚本をキアロスタミらしく忠実にかつ芸術性も感じられるくらい見事に映像にしてみせた、ジャファール・パナヒの初長編監督作にしてカンヌの新人賞たるカメラドールの受賞作。

イランの人間の冷たさと暖かさを両方感じ取れるミニマルな内容は実にキアロスタミらしいが、当時の洗練されたキアロスタミ演出とはまた違った初々しい描写の数々は弟子とも言えるパナヒならではといったものがあり、こういう効果を期待してキアロスタミがパナヒに作られた意図があったのかもとすら思える。

でも序盤の長回し等、この頃から既に描写として目を見張るものがチラホラ確認でき、監督デビューしたばかりでもパナヒの映画作りの腕はかなりのものだと唸らされる。