ひろ

KUBO/クボ 二本の弦の秘密のひろのレビュー・感想・評価

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
4.5
瞬きをするなら今のうちだ……
いや、瞬きする暇ないでしょ!ってくらい良かった。
色々と思うところがあったのでレビュー長めになりそう。


ストップモーションとは何か知らずに観たけど、これは凄いですわ…
スタッフの皆さん、お疲れ様です、そしてありがとう。
1日かけて製作してもコマ的には3秒ちょい分しか作れず、94週間かかったと知って驚愕した。
ストップモーションであることを忘れてしまうような表情やダイナミックさがあった。
本当に素晴らしかった。


そして日本の和の雰囲気を本気で研究してくれたんだな、ということが伝わってきた。
よくあるエセ日本ではなく、本物の日本だった。
着物や傘の質感、街並み、折り紙を折る際の動きや紙の音など、細部までこだわっているのが伝わってきた。
視覚的な情報以外にも男(ますらをぶり)と女(たおやめぶり)、祭りと死者との結びつきなど、日本人の感性を刺激するこだわりに感動した。


音楽も良かった。
バトルシーンでの三味線の音色に心が掻き立てられた。
また、エンディングでの「While My Guitar Gently Weeps」のアレンジも良く作品の雰囲気にマッチしていた。
家紋のbeetleとThe Beatlesで掛けたのかなーとふと思った。


キャラクター等の動きについて。
クワガタの体ならではの動きや特技、折り紙の動きなど、よく知っているはずのものが我々が初めて見る動き方をして活躍していたのが申請だった。
バトルシーンの動きが良かった。
特に妹2人の動きが魅力的だった。


そしてストーリーについて。
勧善懲悪、家族の絆、終わりがあるからこそ美しい、というオーソドックスなテーマだったが、とても綺麗に描かれていた。
主人公(語り手)のストーリーが製作者(語り手)によって語られる(描かれる)というメタ構造になっており、素晴らしい語りだった。
タイトルの「二本の弦」の意味が分かった時には感極まって泣いてしまった。
とても美しい物語だった。


全体の評価として、映像が美しく、音楽が素晴らしく、物語がしっかりしていてとても良かった。
Blu-ray買うか迷うが、特典としてメイキングが収録されていたら確実に買う。

余談だが、クワガタがめっちゃ良い声だった(笑)


追記
最後に祖父の左目が見えるようになったのは、彼が心を閉ざすのをやめ、人の心を知ろうとし始めたことを暗示しているのだろう。
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