正義と人の命との関係が絡み合って解けなくなる映画。
アフガニスタンの治安維持のために派遣されたデンマーク軍のある部隊。見えない敵から不意に攻撃を受ける。部下が致命傷を負う。助けるためには空爆支援を要請するしかない。しかし要請するためには敵の存在を確認する必要がある。それが法律だ。一刻を争う事態に部隊長は敵を見たことにして空爆を要請する。部下を守るためにはそうするしかなかった。
しかし、それにより一般市民が生活する地域を空爆してしまう…。
身内を助けるために切った正義の札によって、他人を殺してしまう。正義とは何かを観客は突きつけられる。
しかも、デンマーク軍は自国を守るために戦っているわけではない。他国の平和を維持するために戦っているのだ。その戦いで守るべき人たちを殺してしまう矛盾。その活動自体の正義も問われているように思える。
物語の後半は戦場から法廷に舞台を移す。起訴された部隊長の裁判の行方は如何に。
本作監督のトビアス・リンホルムが脚本を書いた『偽りなき者』や『光のほうへ』と同じく、ざらついた感触が鑑賞後のおみやげにもれなく付いてきます。
デンマーク映画、やっぱり好きです。