酷く重苦しい映画。これが、二時間に満たないとは。緊張に次ぐ緊張、緊迫感の上の緊迫。そして希望。長い台詞というものが殆ど見つからず、何が起こっているかで多くを語っている。だからこその映像美、迫力がありパワーと言うべきものを感じる。
ただそれ以上に、これが実話(を元にした物語)であることに驚く。クリストファー・ノーランが持ち前の空想科学物語ではなく、現実路線を進んでいたことにも。
しかし、よくよく考えてみれば、戦争というものも我々にとって別世界に変わらず、(波及効果を踏まえたら)人智を超えた現象に違いない。そしてその中で描かれる人間は多様である(個人的には船の3人が好き)。また戦争という題材もあって、結果的に誰も「勝利」を得られないというオチも良かった。あの戦争描写といい、ノーラン作品の思考を促す力は健在。
「生き残っただけだ」
「十分だ」
ラストの台詞が好き。