国に帰る！国に帰す！
第二次世界大戦。
フランスのイギリスとドーバー海峡を隔てた港町「ダンケルク」
英仏連合軍、40 万人が今まさにこの街でナチスドイツ軍に包囲殲滅される状況…三面楚歌、逃場無し、眼前に拡がるは蒼い海。
故国に帰る為、翻弄される者。
その手助けをする英空軍パイロット達。
民間船(遊覧船！)で有りながら海を渡り非武装で、戦地に救出に向かう船長。
取り残された兵士を故国の土を踏ませる為に粉骨砕身する名も無き兵士達。
長い撤退戦が幕を開ける。
紛れもない戦争映画で有りながら、今までの戦争映画の概念を崩しかねない問題作。
主役不在の語り部不在。
最後に終息するとは言え、時間軸も不安定で状況説明も無いようなもの。
そう、この映画を作った四ヶ国の人間には馴染み深い、ダンケルクの大撤退を細部に渡って描ききった大作。
例えばミッドウェー海戦やノルマンディー上陸作戦等は名前くらいは聞いた事もあるだろう。
だが近代戦に於いてイギリスとドイツ、双方に汚点を残した、悪く言えば地味、しかし歴史の分岐点である、戦い。
実際、戦史として余程好きでは無いと知らなくても仕方ないと思える。
兵士達を救おうと奮闘するシーンが無いではないが、そこがメインではなくて、とにかく死なない事と逃げる事に主眼を置いた作品。
しかも敵であるナチスドイツにしても「敵」としか表現せず、ドイツ兵すらほぼ出ない。
正直、面白くも何ともない。
押し付けがましくもなく、かといって空虚でない、戦争の本質を淡々と見せつけられる作品。
何も知らないで見る事は悪い事では無いが、エンターテインメントとして見ると肩透かしを喰らう事は間違いない。
見た後、すぐ家に帰りました。
