ゆゆ

映画 聲の形のゆゆのネタバレレビュー・内容・結末

映画 聲の形(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

また観たいけど観たくない作品です。素晴らしいと思います。

何と言っても「登場人物全員が不完全」という点において、この作品を越すものはなかなかないと思います。西宮は聴覚障害というみるからに不完全で「異」の存在をみせてくれます。石田は元々「異」を認められず、なぜ不完全なものに好奇心をくすぐられるのかもわからないまま、それが過酷なイジメになります。2人が主軸になり話が進んでいきますが、それぞれの母や担任の先生に至るまで、「自分」という存在を本当の意味で認められている人物が誰一人存在せず、ゆえに他者を簡単に傷つけてしまう。
地球上に73億人いて、同じ人などどこにいるのか、教えて欲しいって思います。「みんなちがってみんないい」という相田みつをさんの言葉のや、十人十色という四字熟語の真意をみせられたような、そんな感覚です。
誰かに認められたからといって自分が「自分の中の自分」を認められるとは限りません。むしろ反発してしまうくらいです。それが西宮の飛び降り。あんなに石田ががんばってるのにーってみんな思ったと思います。でも、西宮にはそれが死ぬほど痛く苦しいわけです。好きな人がこんなにも自分を認めようとしてくれているのに自分は変われない。逆に追い詰められる。だから植野という嘘のない正直さ、弱さをもった「女」の友人の言葉は素直に西宮の心に届くわけです。
好きな相手というものには、何かしらフィルターがかかってしまうのだなって。笑
川井の存在も、みんな「うわあ」と思ったでしょう。私も「うわあ、一発殴りてえ」って思いました。しかし彼女の役割は非常に重要でした。「悪意なき悪」というのは確かに存在して、これは石田にも少し通じます。川井は特に、今後の人生苦労していくし、社会の中でいじめの対象になっていくことと思います。それでも彼女は「私は悪くないのに」となるわけです。確かに彼女は西宮がいじめられている様子をみても「ダメだってえ」的なことしかいいません。自ら主犯になることは「避ける」のではなく「しない」んですね。したいと思わないんです。川井は多くの人が経験した人物像ではないでしょうか。
これから漫画も読もうと思っています。島田のストーリーが気になります。
ゆゆ

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