えんさん

一週間フレンズ。のえんさんのレビュー・感想・評価

一週間フレンズ。(2017年製作の映画)
2.0
せっかく友達を作ったり、楽しい思い出を育んでも、そのことを次の月曜には忘れてしまう記憶障害を持つ女子高生・藤宮香織。そんな彼女に初めて会った日から心惹かれたクラスメートの長谷祐樹は、何度忘れられても香織に想いを伝え続ける。自分の記憶障害を自覚し、他人に対して閉鎖的だった香織だったが、何度も目の前に現れる祐樹のことを徐々に意識していく。そして、2人は月曜になって、香織の記憶が途切れても、うまく関係が続けれるように交換日記を始めるのだったのだが。。葉月抹茶のベストセラーコミックを川口春奈&山﨑賢人のW主演で映画化。監督は「電車男」「赤い糸」の村上正典。

ヒロインの記憶が1週間でなくなってしまうという設定の学園ラブストーリー。最初、予告編を観たとき、一週間という設定が相対的なもの(つまり、一週間のうちに毎日会っていれば、会えない一週間は永遠にこないという相対論のジレンマみたいなお話)だと、物語の設定として甘いのかなと思っていましたが、作品早々で月曜日になると記憶がリセットされるという、なんだかブルーマンデーで何もかも忘れてしまいたいサラリーマンのような設定になっていて、とりあえず物語の筋としては一通りまともなものになっています。それにいいのが、主役の祐樹を演じる山崎賢人がいい三枚目役を好演していること。今までラブロマンス的な作品でもクールなイケメン役を演じてきた彼が、ここまで垢抜けた三枚目を素直に演じられるのは、彼の演技としての幅をも広げていると思います。彼の三枚目風役まわりもそうですが、交換日記を持ち出してくるところも、「君の名は。」のような今風を積極的に取り入れた真逆のような作品になっていて、観ていて非常に昭和感を感じてしまうのは作品としては微妙なところかもしれません。

それに作品のオチとしても、結局彼女の記憶がリセットされる原因が特定されるやいなや、ややもすると考えられるような少し安易なラストに落ち着いてしまった感もあります。何かと祐樹の世話を焼く山岸や、寝てばっかりだがいざとなると2人のために一肌脱ぐ親友・桐生の男っぽさなど、彼らを見守る2人は好演しているのですが、その周りを囲む大人たちの設定がやや薄っぺらく感じられてしまうのもイマイチなところです。祐樹側のキャラクター像に対して、香織側を取り囲むキャラクター像が物足りないようになっているのがアンバランス感を生んでいると思います。全体的に清い感じが結構好きだったりするんですがね。。