このレビューはネタバレを含みます
ちょっと切ないホラー映画だ。
その島は完全に隔離されていて、女と、男の子しかいない。
なぜならその女たちは全員突然変異の生物で、生殖能力がないため、男の子の腹に子どもを孕ましては棄てることを繰り返して生きていたのである。
棄てられた男の子は海に遺棄され、腐乱し、まるでヒトデのように岩盤にへばりつく。
ある少年は海に潜って遊んでいると、死んだ子どもを目にする。家に飛び帰り母親に相談すると、母親は得体の知れない不吉な食べ物を作っては「ヒトデを見たんでしょ」と取り合わない。
しかし、それから少年の奇妙な出来事は続く。彼らは気味の悪い不思議な食べ物と薬を毎回飲まされる。「弱っていくから」と奇妙な説明をする母親だが、彼は納得しない。
ある夜、家々の女たちは一箇所に集まりだす。そこでは女たちが地面に横たわり、身体を寄せたわせながら、裸で蠢き合い、唸り声を上げながら交わっていた。
奇妙の一言であるが、少年は徐々にではあるが、確実にその土地が異常であることに気がついていく。
しかし、少年が医療施設に隔離されたとき、一人の看護師が秘密を打ち明ける。それは少女の背中には吸盤があり、男の子にはないという姿である。そして、看護師は少年を海に連れて行き、彼を無理やり海に沈める。だが、少年は窒息して意識を失い溺れてしまう。
それを見た看護師はすべてを悟る。
彼は自分とは違う世界の生き物であると。
やがて少年は手術され奇妙な水槽に入れられる。すると少年の腹から胎児が孵化し、少年を見つめていたのである。
しかし、術後、少年は看護師に海へ連れ出され、口移しに空気をもらって遠い海の向こう側に止めた小舟まで泳ぐ。そして少年をただ一人残して看護師は去っていく。
何も言わず去っていった看護師の目は悲しげで、物憂げだった。
少年は長い時間を経て対岸の町を見つけ、物語は終える。