爆裂BOX

パニック・イン・テキサスタワーの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.9
1966年に起きた「テキサスタワーライフル乱射事件」を映像化したTV映画です。TSUTAYAの発掘良品でDVDになって初めて鑑賞しましたが、実際に起きた事件を過度な演出入れる事無く淡々と描きだし、TV映画の安さも相乗効果となって独特の異様な緊張感を出しています。
犯人チャールズ・ホイットマン役を無名時代の若かりしカート・ラッセルが演じてますが、序盤の顔面に汗流しながら母親と妻を淡々と刺殺するシーンや、銃砲店で大量の銃と弾薬を買い込み、カバンに詰めて台車に乗せてタワーに持ち込み、そして赤いバンダナ巻いて眼下の人々を撃ちまくる、全てを大仰な感じはなく気真面目さを感じさせながら行う様が本当に壊れた人感を出していて迫力ありました。
序盤ちょっと過ぎてから始まる銃撃シーンは派手な流血シーンなどないですが、異様な生々しさと迫力がありました。銃撃が始まる前の警備員と入れ違いに最上階へ登った見物客が撃たれるシーンも直接的な描写はなく銃撃音だけで最悪の事態が始まった事を知らせる演出も良かったですね。ついさっきまでキャンバス内を闊歩していた人たちが銃声と共に次々と倒れていき、パニックになって逃げ惑う人々の姿や、絶え間ない銃撃によって砕け散るショウウィンドウ等のパニック描写の緊張感はかなりのものです。警官たちが銃撃かいくぐってタワーに近づいていくシーンも目が離せない緊張感ありましたね。負傷者の救助に来た救急隊も銃撃を必死で避けながら救助を行うシーンも緊張感凄かったです。正しく命懸けですね。
一応の主人公である警官ラミロが何の障害物もない広場を銃撃に追われながら駆け抜けていくシーンは手に汗握らされました。主人公だけどヒーロー的な活躍を特にすることない所もリアルですね。事件解決したけど偶々警官の中では一番先に上っただけだし。一緒に行動することになった大学の書店員アレンがいい味出していました。
一方的な無差別銃撃かと思ったら猟銃もった大勢の一般市民がチャールズの銃撃に対して反撃していたのは知りませんでした。観ん感じも一緒に突入してたんですね。
犠牲者の氏名や年齢職業が読み上げられるラジオを聞いてチャールズの表情が歪み絶叫するシーンが印象に残りました。あの時彼は何を感じたのか。罪悪感か、それとも。ラミロ達がじりじりとチャールズに迫るシーンの緊迫感も壮絶でした。解決はアッサリですが、爽快感ではなく緊張から解放された虚脱感が残る最後の展開もこっちも何だかぐったりします。最後のほのぼのオチが沁みますね。
派手さのないTV映画ながら終始見入ってしまいました。一見の価値ありですね。