まつこ

シング・ストリート 未来へのうたのまつこのレビュー・感想・評価

4.0
アイルランドってなんか秋っぽい。

全力で青春を謳歌しているのに何処かセンチメンタル。
米国みたいにキラキラポップでもなければ日本みたいに淡い甘酸っぱさもない。
どこか煤けていて斜め下目線が似合うようなそんなイメージ。

今作もそんな感じだ。
若さのきらめきはあるものの何処か燻ってる。

時代と環境に閉じ込められて、自力では飛び出せなかった男の子が音楽の力を借りて男になっていく。

彼の想いを乗せた音楽が心地よくも切なくて胸も喉の奥もキュンとする。
彼の音楽に色んな人が手を伸ばし想いを乗せて音が重なる。

ただの青春ドラマでも恋愛ドラマでもない。兄弟の絆にほっこりした。

妄想LIVEシーンが好きだ。
映画好きな皆さんなら余計におおっ!と反応するはず。

誰もが経験したことがあるんじゃないかな。
あの扉の向こうにあの人がいるんじゃないかって信じて待ってたこと。居なくて淋しくなったり、見つけて喜んだり。
一旦閉じていた物語を辿るように、記憶の中の感情がリンクする。そんな素敵な作品でした。

キャラ的にはナンパも上手くて不器用ながらもリードしてキスしちゃう彼よりも、メガネくんかお兄ちゃんが私は好きだなぁ。

音楽好き、燻ってエネルギー持て余してる若者、あぁ青い春に帰りたいなぁと頬杖つきたい大人の皆様にオススメしたい一作。
まつこ

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