亘さん

シング・ストリート 未来へのうたの亘さんのレビュー・感想・評価

4.5
1985年、ダブリンに住む高校生が「バンド組もうぜ!」っていう当時はよくあった若気の至りと少年の成長物語。転校したコナーが一目惚れしたのは、高校の前にある女子児童保護施設に住むラフィーナ。1つ年上なのにものすごく大人びた雰囲気にやられたコナーは、バンドもやってないのに、当時流行っていたMVのモデルに出てくれないかと依頼をしたことがきっかけで・・・というお話。

1985年、「We are The World」がバカ売れし、マドンナがモンローの真似をして「マテリアル・ガール」を歌い、a-haの「テイク・オンミー」のアニメと実写が融合した画期的なMVに驚いてた時代。丁度その頃日本ではチェッカーズ、中森明菜、CCBが流行ってアイドル全盛期だったんだけど、8歳年上の兄の影響で洋楽を聴きまくってた。「ゴースト・バスターズ」が公開された年で、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースとか、スターシップ、ユーリーズミックス、あと勿論「ワム!」も聴いてたっけ。
1985年、バブル好景気の始まりで日本中が浮かれた空気に包まれて、洋画も洋楽も出せば大ヒット、画期的なアイディアがどんどん生まれてとにかくキラキラした時代だった。当時コナーと同じくらいの歳だったので、未来は明るくてそれでいて大人になるのはずっとずっと先だと思ってた。
その後私もコナーと同じく急転直下、家族の問題に巻き込まれて地獄のような暗い日々を過ごすようになったけど、それでも洋楽を聴くのはやめなかった。この時代の音楽を聴いてるとそれだけで明るい気持ちになれたから。

コナー達のバンド「シング・ストリート」はその時の流行りで少しづつ音楽性を変えているあたりも面白かった。デュラン・デュランのネオ・ロマンチック風から、POPロック風まで。
バンドのオリジナル曲のメロディもキャッチーで名曲。1番印象深いのがコナーの6つ年上の兄を演じるジャック・レイナー。音楽を教える師匠だけど、優秀なわけではなく弟に嫉妬する人間臭さもある。得にラストでは見ている自分も兄と同じようにガッツポーズをして弟を応援したくなる。
劇場で2回見たけど2回目のほうがグっときたので、2回見ることをオススメ。それとパンフがLPレコード風なのもカッコイイので900円だけど買いです。
亘さん

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