【退屈な分断、でも零れる肉感】
「アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ」上映にて。
この作家は初体験だが、本作は実質的に監督デビュー作らしい。が、表層的な女優の輝きと肉感に浸れる以外、退屈でした。
狙いはわかるような気もするが、物語を解体し、ショットで分断してゆくこのやり方に、面白みを感じなかった。
イスタンブールでまったりするフランス男が、謎めいた女に惹かれるが、行方が分からなくなり探しまわる…という流れだが、そこまで執着するモンか?と首を傾げる。よっぽど暇なのかこの男?と付き合いきれなくなってしまう。
ヒロインを演じるフランソワーズ・ブリオンは美人だし、遠くで見るより、アップの方が魅力的な女優さん。下着姿でトルコ風ダンスにくねる姿もエロティックだけど…記号的で、内実不明。生ものの女、という気がしない。そういう演出なのだが、惹かれない。
後から知って面白いと思ったのは、この監督、元々サドマゾ性癖があって奥さんをその道に引きずり込み、開花させてしまったそうです。奥さんカトリーヌもSM小説を出版するなど、その方面で活躍していたとか。
で、そのカトリーヌさんも本作に出演していて、ちょいと只ならぬオーラを放っています。見れば、たぶん誰かはわかると思います。
女優の撮り方に、屍姦ふう視線も感じたが、それも監督の性癖から来ているのかな。いや、大いにけっこう!映画とはそうでなくちゃ。
本作への満足度は高くないが、全般的な映画の幼児化に伴って今後、倒錯的な画は減少するだろうから、こういう監督の存在は、どんどん表に出てきてほしい。
邦題は大袈裟で、実際は“死なない女”くらいのニュアンスだそうね。
<2019.2.12記>