くりふ

不滅の女のくりふのレビュー・感想・評価

不滅の女(1963年製作の映画)
2.5
【退屈な分断、でも零れる肉感】

「アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ」上映にて。

この作家は初体験だが、本作は実質的に監督デビュー作らしい。が、表層的な女優の輝きと肉感に浸れる以外、退屈でした。

狙いはわかるような気もするが、物語を解体し、ショットで分断してゆくこのやり方に、面白みを感じなかった。

イスタンブールでまったりするフランス男が、謎めいた女に惹かれるが、行方が分からなくなり探しまわる…という流れだが、そこまで執着するモンか?と首を傾げる。よっぽど暇なのかこの男?と付き合いきれなくなってしまう。

ヒロインを演じるフランソワーズ・ブリオンは美人だし、遠くで見るより、アップの方が魅力的な女優さん。下着姿でトルコ風ダンスにくねる姿もエロティックだけど…記号的で、内実不明。生ものの女、という気がしない。そういう演出なのだが、惹かれない。

後から知って面白いと思ったのは、この監督、元々サドマゾ性癖があって奥さんをその道に引きずり込み、開花させてしまったそうです。奥さんカトリーヌもSM小説を出版するなど、その方面で活躍していたとか。

で、そのカトリーヌさんも本作に出演していて、ちょいと只ならぬオーラを放っています。見れば、たぶん誰かはわかると思います。

女優の撮り方に、屍姦ふう視線も感じたが、それも監督の性癖から来ているのかな。いや、大いにけっこう!映画とはそうでなくちゃ。

本作への満足度は高くないが、全般的な映画の幼児化に伴って今後、倒錯的な画は減少するだろうから、こういう監督の存在は、どんどん表に出てきてほしい。

邦題は大袈裟で、実際は“死なない女”くらいのニュアンスだそうね。

<2019.2.12記>
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