全然知りませんでした。
知らなかったからこそ、知る為に観ました。
人類史上最悪と言われたホロコーストから遡ること20年前。オスマン帝国(現トルコ共和国)によるアルメニア人への強制移住と大量虐殺。
その数、なんと150万という膨大な数の命。
ルワンダ虐殺については随分昔に本で読んだ事がありまして。つい昨日までお隣同士仲良くやっていたのに、急にどちらかが虐げられる対象となる恐怖!
狂乱の20世紀初頭、運命の渦に巻き込まれる医学生ミカエル(オスカー・アイザック)、家庭教師アナ(シャルロット・ルボン)とその恋人でAP通信のアメリカ人記者クリス(クリスチャン・ベイル)の男女3人によるヒューマン・ドラマ。
歴史の歯車が狂い出す。
同時に3人の運命の糸がもつれ出す。
アルメニア人のミカエルとアナは、突如トルコ人から命を狙われる立場となり、クリスもまたスパイ容疑をかけられてしまう。
この3人がくっついたり、離れたり。ただこの三角関係、何せ動乱の真っ只中の為、一度離れたら生死も危ぶまれる緊迫した状態。
非常に丁寧に人物を描写し、きっちりとドラマを展開してくれる優等生的作品。加えて普段あまり目にする事のないアナトリア半島(小アジア)の風景や、コンスタンティノープル(現イスタンブール)の街並みは新鮮で、観ていて心躍る。
アメリカンアクセントを捨てた徹底した役作りのオスカー・アイザック。中盤、彼の慟哭に言葉を失う程の圧巻の演技。恋敵であるクリスチャン・ベイルは、ミカエルとアナが惹かれ合っている事を知りながら、感情を決して露わにしなかったクリスを好演。2人を決して非難しないその対応が凄く男前でした。アナ役のシャルロット・ルボンも美しく魅力的。
「生き残ることこそが復讐」
…名言です。
歴史上から消されかけた民族、アルメニア人。トルコ政府はいまだこの事実を認めていない。
ホロコースト系映画と同じく、重いテーマでありながら、観て良かったと心から思える秀作!ジャン・レノもちょこっと登場するし!
さぁ、ずっと心の引き出しにしまったままになっている、本作と同じテリー・ジョージ監督作「ホテル・ルワンダ」も観なきゃ!
…あ!タイトルが、ちょっとピントずれ気味です。