不倫の末に妻から男を奪って結婚した主人公。二人の間に生まれた実子のみならず、前妻の子供達の世話、ダメ夫の面倒を一手に引き受け、スケジュールをやりくりしながら仕事もこなすが、そういう日々の中で「これは自分のしたいことじゃなかった」と思い、夫を前妻の元に返そうとする。
既成の価値観に縛られている自分からすると「んなバカな」とも思うお話だけど、理解はできる。恋に落ちていく男女への少しの羨望と、エゴをエゴと苦しまないふたりに対する少しの違和感。そういうものをない交ぜに感じる映画だった。現代のスクリューボールコメディ、都会の寓話なのかな。
アーサー･ミラーの娘であるレベッカ･ミラー監督。異質な家族概念をテーマとして扱うのは、そういう父の娘だからなのだろうか。
知的でタフながら、ふとした瞬間に弱さ、もろさを見せる先妻ジュリアン・ムーア好演。とても美しいのに人間らしくて素敵。イーサン・ホークのようなダメ男は正直苦手。でもとてもリアル。主人公は・・・・その価値観があまり好きにはなれないけれど、いつかはこの人も「人生なんてそう計画通りにはならない」と思う日がくるんじゃないかな。平日の昼にひとりでのんびり映画館で観るには楽しい映画。
