浪川リオン

スイス・アーミー・マンの浪川リオンのネタバレレビュー・内容・結末

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

セクシャル方面の下ネタはドギツイのでなければ平気というか、センスが感じられたら好きだったりするんですが、排泄系の下ネタが本当に苦手。コロコロコミックのう○こ系のネタは見るのを避けていたし"放屁"に関してはもう正直字面も見たくないし人前で平気でする人を心底軽蔑しているくらいです。

だもんでこの映画との相性は全く良くなかったですね。正直途中で止めて日常系美少女アニメで口直しでもしようかと何度も思いました。

ただまあ「この先どうなるんだろう?」という牽引力があったのも確かで、先が気になって結局最後まで見てしまったし木組みで作ったバスの場面なんかでは撮影のあまりの美しさに少し涙してしまう程でした。

しかしながら最後まで見終えたあと、『結局何を見せられていたのか?』という事を考えてみるとストーカー行為や盗撮をしていたのも、死体を弄んでいたのも事実で、いくら撮影が美しくドラマチックに描かれていたとしてもそれらの要素は隅においておく、という訳にもいかず前向きなメッセージを受け取るのが難しく思ってしまいました。
無理やり自分なりに考え出せば『人は変われる』『ネグレクトやハラスメントで受けたトラウマや傷は癒える、克服できる』という事なのかな。

とはいえサラの娘は死体が動くこと、そして電気音を発しながらグネグネ動く"アンテナ"によっておそらく一生もののトラウマを植え付けられたろうし(正直一番笑ったシーンでもあるけど)、モヤモヤしたり引っかかる物も多い気がする。

会話パートが長くて少々ダルい部分もあったんですが、ダニエル・ラドクリフの目があまりに美しいので画面が保ってた感があります。本当に不思議な目。思索を促す湖面のような、永久に融けない氷山のような青。

モヤモヤが残ったり結局何の話だったのか、という事については考察のしがいがあったり、同じ映画を見た人と話し合ったら楽しそうだな。という部分は自分の好きなノーラン監督作品みたいで良いなと思いました。

私は相互フォローの方や考察ブログで見た『主人公と父ネクロマンサー説』を支持しており、一応その観点で感想を書いたつもりです。

何となく似ていると思った映画は『キャストアウェイ』と『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。

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