おもしろい。
この監督、好きかも。
刑務所を出たばかりのアダムとその身元引受人の神父イヴァンの物語。
一筋縄ではいかない悪党アダムが教会を引っ掻き回そうとするが、隣人愛で寄り添うイヴァンにより変わっていく……、オープニングでそんな物語を想像した。が、そんな陳腐な話ではなかった。
イヴァン、アダムを含めて登場人物は7人だけだが、キャラクター設定が全員おもしろ過ぎる。
キャラが濃い人々によってアダムの方が掻き回される。「こいつら何なんだ」。イヴァンとの間で目標として設定したアップル・ケーキを焼くことはできるのか。いやいや、強面のオッサンの目標がアップル・ケーキっておかしいだろ。
イヴァンは、あらゆるものを奪われた旧約聖書『ヨブ記』のヨブだ。一方アダムは、ヨブが理不尽な仕打ちを受けた理由についてヨブと議論する友人なのだろう。
運命とは何か、神の存在とは何なのかという重いテーマを、ヒッチャカメッチャカな展開で不揃いのピースを組み合わせて完成させていく。いやあ、おもしろい。笑いのセンスも好きなヤツだった。
トーキョー・ノーザンライツ・フェスティバル2017にて。満員、1時間前にチケット購入するも既に立ち見券。去年も同じ監督の『メン・アンド・チキン』でも立ち見した。北欧映画、大人気。