ゴン吉

ジオストームのゴン吉のレビュー・感想・評価

ジオストーム(2017年製作の映画)
4.5
ジェラルド・バトラー主演のディザスターパニックアクション大作。
アレクサンドラ・マリア・ララとアビー・コーニッシュがヒロインを演じ、ジム・スタージェスらが共演。

アメリカと中国が中心となり17カ国が協力して建造した気候制御国際宇宙ステーション。
その運行管理がアメリカから国際組織に移管されるのが間近に迫ったある日、ステーションの気候制御システム・ダッチボーイが暴走し、アフガニスタンと香港で異常気象を引き起こしてしまう。
原因究明の為に、システムを作った技術者(ジェラルド・バトラー)がスぺースシャトルで宇宙ステーションに派遣される。
タイムリミットは90分!
システムの暴走を制御することが出来るのか?

ストーリーはテンポよく進み、映像には迫力もあり、とても見応えがあった。
単なるSFディザスター作品でなく、サスペンスに加えてヒューマンドラマとしても楽しめた。
宇宙ステーションでのアクションはもとより、カーチェイスや銃撃戦まで盛り込んだサービス満載の作品で、観ていて飽きない。
VSFXによる壮大なスケールの映像も圧巻です。
さらに兄弟愛、親娘愛、恋愛に加え、人間関係や国際協力の重用性まで詰め込みながらも、全体としてよく纏めている。

本作は、環境よりもアメリカ経済を優先させる当時の政権への皮肉たっぷりの作品でもある。
メキシコ人クルーによるアメリカ人救出劇を通して、国境の壁問題で揺れていたメキシコとの協力の重用性もうたっている。
ジェラルド・バトラーが演じる主役のジェイクの「イギリス生まれだ」というセリフは、一見するとアメリカ生まれの生粋のアメリカ人に思える白人でさえも、実は移民であることも少なくなく、アメリカは移民で成り立っていることを表している。
ジェラルド・バトラーが、本当にイギリス人であることも興味深い。
その弟役を演じるジム・スタージェスもイギリス人である。

一方、環境をコントロールしている宇宙ステーションでは、多国籍のクルーが働いているが、その責任者であるドイツ人女性のウーテを、アレクサンドラ・マリア・ララが好演している。
ウーテは、当時のドイツのメンケル元首相を投影しているのかもしれない。
メンケル元首相は、気候変動問題や難民移民政策に力を注ぎ、物理学者でもある。
またメンケル元首相はポーランド系のドイツ人であり、ルーマニア出身のドイツで活躍しているララと重なることも興味深い。
本作品は、キャスティングにも深いこだわりが感じられた。

当時、深刻な紛争問題を抱えていたアフガニスタン、中国返還により混乱が続く香港、国境の壁問題で揺れるメキシコなども重要なシーンで触れている。 

本作は多くの要素がバランスよく詰め込まれており、予想以上に楽しめた。

「過去は変えられないから未来を見るしかない……… 世界は未来を共にすると忘れなければ、人類が滅びることはない!」

2022.11 地上波テレ東で鑑賞(午後ロード・吹替:松崎広幸 訳)
2021.5 地上波フジTVで鑑賞(土曜プレミアム・吹替)
2018.1 
ゴン吉

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