ちろる

アスファルトのちろるのレビュー・感想・評価

アスファルト(2015年製作の映画)
3.8
イザベル ユペールが完全主演かと思っていたが、圧倒的な主役感はなくて、とある団地を巡る群像劇で描かれる中の1人といった印象。

まず、あんな日本の古い市営住宅みたいな、暗くて殺風景な団地がフランスにも存在するんだという事に驚いた。
ここに住む人たちはなんとなく孤独で元気がない。
心の奥底でなんらかの夢や欲望を抱いてはいるもののそれを押し殺しているように静かに大人しく過ごしているといった印象。

しかしそんなどこか抑圧されたような印象を持つ彼らの1人に1人のエピソードがクローズアップされ、孤独と孤独がかけ合わさったとき、それは突然小さな可愛らしいお花が咲いたのを見たときの感覚みたいになんだかほっこりしてしまった。
突然屋上に落ちてきた宇宙飛行士とアルジェリア人の老人のエピソードが好き。
シェイプオブウォーターもそうですが、ディスコミニケーションが見せる人間の純粋な部分はいつまでも見ていたい。
もっと掘り下げて欲しかったなと思うくらい素敵。
多分コメディなのだろうから、なんで無重力空間から地上に落ちてすぐ歩けるんだよ!とか書くのはナンセンスなのかもしれませんが、気になったので、そこの重力問題利用して笑いにしてもいいのにと勝手に思ってしまいました。
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