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ブラック・スワンのyunのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

臆病で繊細、真面目な人間が、本気で悪を演じようとしたとき、心はこうまで崩壊していくのだな、と思った。

ニナは、母親からの重圧、常にライバルと競っている緊張感、大役への渇望、様々なものが絡み合い、映画序盤から相当精神を病んでいた。そこからは、現実と妄想が絡み、主人公目線で物語が進んでいくため、どこまでが真実かは分からない。ホラーかのようなシーンも多かった。ホラーは苦手だが、この映画は一人の人間の精神が崩壊していく様を丁寧に描いているドラマと捉えたので、そこまで嫌な気持ちにはならず、ずっと見入っていられた。

ナタリーポートマンの美しさと女優魂を存分に感じられる作品。

役の完全性を求めた極み、といったらいいのか。精神が弱い臆病な人間が、完璧な悪を求めたら、それこそ薬でもなければ無理なのではないかと思ってしまう。でも、薬はより心を崩壊させていく。
満足そうなニナが最後には真っ白な白鳥になった。多分、死に向かっているのだが、ニナの幸せそうなやり遂げた表情を見ると、決して後味が良くはないが、ハッピーエンドとすら感じられた。
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