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ノマドランドのyunのネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ドキュメンタリーかのような現代の遊牧民(ノマド)のリアルを描いたお話。淡々と進むし華やかさもドキドキもないのだが、この映画の終着点は何なのだろう、という興味と、もし自分がこうなったら…という想像をしながら、意外とずっと見入っていられた。

自由を求める現代人には、自らノマドになって行く先々で仕事をして友達を作り、その日暮らしをする、なんて聞くと羨ましさすらあるかもしれない。しかし、実際にはあまりに過酷。とても不安定で危険なこと。それでも、映画では壮大で美しい自然の景色に心が洗われた。先々で出会うさよならのない別れも良かった。

高齢になってから、家を失い家族を失いコミュニティも失い、それでも生きていかなければならない。そんな時、一つの選択肢になったり、もはやそれしかできなかったりする高齢者が、確かにいる。誇りを持ってノマドとして生きるのであればそれは個人としては素晴らしいのかもしれない。しかし、社会としては国としては問題だろう。個人のことだけ考えたら、この生き方は否定できない。自分だってこうなる日が来ないとは言い切れないのだ。
主人公が、少しずつ行く先々で友人を作って楽しいひと時を過ごしたり、想いを通わせそうになる男性と過ごす時間にほっこり。それでも、そこに落ち着かずにノマドとして生きる覚悟を持って一人で生きる彼女に感服。
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