垂直落下式サミング

ザ・プレデターの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ザ・プレデター(2018年製作の映画)
3.5
80‘sテイストのいかがわしい雰囲気が溢れるプレデターの新作。
まず、いきなり宇宙船が墜落する場面からはじまるのが、思い切りのよいB級さで好感が持てる。
滴る鮮血によって浮かび上がるプレデターの素顔、どんな文化圏の人にも優等生だと勘違いされることはないであろう下品で愉快な仲間たち、昨今のハリウッド大作の潮流に流されないユーモアとバイオレンスが存分に盛り込まれている。
本作で人類の味方をしてくれるプレデターは、彼等のなかでは裏切り者という扱いなのか、或いは地球侵略を目論んでいる敵勢力のほうが非主流派なのか、そこんところはよくわからないが、彼等の目的や文化、政治的価値観の違いをつまびらかにしていくことが物語の広がりに繋がるのかと言えば、別にそんなことはないと思うので、深く突き詰める必要もないことだろう。
プレデターのなかにも様々な種族がいるらしく、『エイリアンVSプレデター2』で登場した仲間の不手際を片付ける奴、『プレデターズ』の獲物を連れてきてわざわざフィールドに放す奴、そして今回の合成種アルティメットプレデターなどもいるのだから、となれば異種族にも生存権があるんだと主張するリベラル環境保護主義プレデターだっているかもしれない。
ラストは賛否が別れそうで、私は嫌い。続編を作るなら、この主人公も息子も、すべてのデータと一緒に闇に葬られたことにしてほしい。あんなのが戦ってもまったく面白くない。人類はプレデターに地球由来の武器で対抗してほしいし、そもそも人類に手を貸してれるような宇宙人はヨゴレだ。少なくとも、プレデターは最初にヒールとして登場したのだから、それを貫くべきだったと思う。