もしも透明人間に襲われたら…
どこにいるか
どこから来るか
見られているのかいないのか
そこにいるかいないのか
こういった恐怖の演出の仕方は良く緊張感の作り方は全体的に良かったと思います。
誰もいない空間をフレームに収めたり、キャラを物陰から観察するようなカメラワークを取り入れたことで、映ってもいない透明人間の存在感を強調していたように思います。
音響、音楽も良かったです。映画自体がアクションシーン以外比較的静かなので日常で良く聞く音がいつも以上に大きく感じて神経が過敏になっていくのが良かったです。主張の強い重低音の音楽はアクションシーンの緊迫感を高めていたし単純にかっこうよかったです。
透明人間のCGやスーツの鱗のようなビジュアルデザインは視覚的に面白くて良かったです。
何回か襲われたりするシーンがあるけどそのアクションも割と良かったです。ただ想像を超えたものは特になかったし、中盤からアクションのレパートリーの無さにややがっかり。
そしてキャラが平淡なため映画全体イマイチピンとこない。
エリザベス・モスの演技は素晴らしいのですがそれ以上にシーというキャラとして光っていた部分がなく中身が凄く平凡でした。
もう少し好きになれる要素が欲しかったです。有能で親切で行動力と勇気があるのは良いんだけどテンプレすぎて描かれ方もあんまりだから正直好きにはなれなかったです。
彼女の内面に入り込めなかったんで自然と映画自体の怖さも半減してしまいました。
彼女の夫が悪役な訳でしてソシオパスのヤバイ奴だって言われるんですが、そう説明されても本当にそう思う事が出来なかったです。
台詞で語るよりもうちょっと2人の生活とか映して2人の関係と彼の異常性を描いた方が良かった気がします。
「ゴーン・ガール」的な展開が少しあったんだけど彼のキャラが弱かったからあんまりゾクゾクもしなかった。
彼女はとある親子2人の家に住まわせてもらっているのですがこの2人も普通すぎて好きになれなかったし3人の絆もあまり感じなかったです。仲良くしてるシーンはあるんだけど本当に仲が良いんだなって思った場面がなかったです。
主人公の妹もそうです。
そのせいか映画のストーリーも盛り上がりに欠けているように思いました。山場っぽいのが来たと思ったらそこからまた引き延ばされた感じがありました。
クライマックスは多分2つあると思うのですが2つともそんなに盛り上がれませんでした。
ペースもそんなに良くなかったです。スローさがあんまり活かされてない気がしました。
技術的な部分は全体的に凄く良かったんだけどキャラとその写し方で大分損した気がします。
ホラーもアクションも期待した以上のものがあまり見られなくて少し残念です。
見直したらまた印象は変わる気がするけど今はそんなに好きな映画ではなかったです。