ノラネコの呑んで観るシネマ

透明人間のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
4.5
マッドサイエンティストでソシオパスの夫からエリザベス・モスの妻が逃げ出したら、透明人間になった夫に復讐される。
さすがリー・ワネル、ジャンル映画のツボを抑えた素晴らしい仕上がりだ。
あちこち1933年の最初の作品へのオマージュを捧げつつ、物語はモダンなオリジナル。
クズ夫からの肉体と精神の解放を描いてるんだけど、実際に彼女が経験したことを一切描かず、彼女が受けた虐待をしっかりと観客に伝えているのが凄い。
これはエリザベス・モスの、狂気を感じさせるほどの熱演が大きい。
もちろん、見えないストーカーに粘着される恐怖も含めて。
この映画、透明化する設定が新しい。
おかげで透明化してご飯食べたらどうなる?とか、いつも全裸で寒くない?とか、移動する時はどうするの?とか、過去の透明人間モノではごまかされていたディテールが一気に解消。
プロットも、このアイデアあってのものになっている。
やり尽くされたジャンル映画も、新しい視点と問題点の修正でいくらでも面白くなるという良いお手本。
ちなみに脚本家監督らしくプロットも相当に凝っていて、後から考えることで色々パズルのピースがハマってくる様な、読解のカタルシスも味わえる。
なかなかの秀作。
ブログ記事:
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