けーはち

血の抗争のけーはちのレビュー・感想・評価

血の抗争(2012年製作の映画)
3.5
1941年~2009年の世代を跨ぐ家同士の抗争を、当地ならではの文化風俗・音楽・登場人物達で彩り5時間の2部に渡って描くインドの『ゴッドファーザー』的なノワール大作。ベンガル地方の炭鉱権益を巡る激しい抗争の末に散った父の復讐に燃える主人公=ヤクザのボスが凶弾に斃れ血の抗争が次世代に引き継がれ……というのが第1部の流れ。

列車強盗の権利の争奪に始まり、炭鉱労働中に妻の出産の立会に遅れたので泥まみれで炭鉱の用心棒を撲殺して交代とか、ギャングの表の生業が肉屋なので死体もバラバラで完全消滅とか、人口密度の高い雑踏の中で軽快に淡々と暴力が躍り出るクライム劇なんだけど、その背景に入るBGMは、エスニック、ロック、ダブetc……インドらしくキッチュなごった煮がむしろ統一感を呼び、ナレーションや心情説明を兼ねた歌がポロポロ入るのも楽しい。暴力・権力を振りかざす男の思惑に翻弄され、あるいは逆に翻弄する女性たち、そして各々の思いを抱いて育って力をつけていく息子たちという家族群像劇の側面も手際よく描かれている。