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T2 トレインスポッティングのfocsmanのレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
4.0

レントンは言った。

これで足を洗って堅気の暮らしをする。
楽しみだ。あんたと同じ人生だ。
これからは平穏に暮らすんだ、
寿命を勘定して。

それから20年後。

仲間を裏切り、
大金を持って姿を消したレントンが、
再びエディンバラへ。

スパッド、ベグビー、シックボーイ…
お馴染みのメンバーに
必然的に会うことになるレントン。

まぁそれは上手くいくはずもなく。

そんなこんなで物語は進んでいく。





みんな姿は、変わっていた。
でも、根底の中身は変わらない。
バカだし、クズだし、どうしようもない。
たぶん、
変わろうとしたのかもしれない。
もしくは、
変われなかったのかもしれない。
けれど、
時代は変わってゆく。
ただ、
それがいい。
それでいいのだ。
彼らにはそう思えた。




クールな印象の前作とは違うポップな洒落感と、思わず笑っちゃうシーンもちらほら。

ダニー・ボイルが、
トレインスポッティングファンの為だけに贈る続編ムービー。
セルフオマージュもところどころに散りばめられて、全体的になんとも憎い仕上がり。

彼らは時が過ぎていくなかで徐々に居場所が無くなり、時代や社会に取り残されていく。

そんなんじゃ生きてけねーぞ、って。
変わんないとこの世界では
生きていけねーからな、って。
どうにかして
考えて生きてけよ、って。

はみ出し者かもしれんが、
はみ出し過ぎない。
何事もセーブせなあかんで、って。

今作は、
そんな『大人の皮を被った子供』への諷刺的ニュアンスがチクリと痛い。





男なので
ダイアンがやっぱり惹かれる。
大人になっても変わらぬエロティックさ。
新たに加わったベロニカも、
なんとも愛らしくセクシーで、
それはそれはそそられる。

ぐぬぬ…キャスティングも憎い。

今回も音楽はさすがという点。
前作の尖った雰囲気にUnderworldの曲が異様でたまらなかったが、2でも曲の入れ方や選曲も現代に合ったエモーショナルで粋な使い方。
これなしでは語れないだろう。






あの疾走感は
無くなったのかもしれない。
みんなどこかリアルになっていた。
時間の悪戯で、
勝手に大人になるということも。

あぁ、知っていた。
そんなの分かっていた。

けれどそこにあるべきものは
きちんと残っていた。

内容なんて
どうでも良かったのかもしれない。





人生どうやって生きてきた?

これからどう生きていく?

私はどうなのか。

あなたはどうなのか。

何を見て、
何を感じて、
何を思って、
行動してきた?

盗み、ドラッグ、女。
昔から変わることのない
社会的にろくでもない男たち。

もちろん未来に希望は無い。
でも希望ってものは
当人がどう捉えるか、
なのかもしれない。

バカだなぁ。
まだこんなことやってんのかよー。

何処かで呆れながら
心の中で笑っている自分は、
20年という月日の重さと共に、
簡単に答えの出すことの出来ない
ヒューマンメッセージを、
不覚にもエンドロールにて強く感じた。

Choose your future. Choose life.
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