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T2 トレインスポッティングのENDOのレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
4.5
おじさんになっても、やってることが全く変わらない、成長しないやつらの話だ。
マンユーの伝説的プレイヤー、ジョージ・ベストの過去の映像を観ては騒ぎ、プロテスタントのユニオニストの集まりで金を盗み、スコットランドは経済再興してるのに、彼らは取り残され、子供の頃に戻れたらと未だに思ってたりする痛すぎるおじさんだ。
ヒロインはブルガリアから出稼ぎに来てるという点で、貧しい国の家族をささえるために働いているのだ。だが彼女も努力で得た金ではない。融資の金をパクったもの。彼女もマークと同じになってしまうのか。
やはり厄ネタのベグビーのウザさがすごい。でも彼なりのポリシーで最後は家族と和解。
マークは20年前の清算をするために戻ってきたかと思いきや、狭心症でぶっ倒れステント入れてるわ、子供もできず、妻と離婚し、結局何かも失っていた。そしてまたドラッグをキメてしまう。
結局内輪揉めしてるだけなんだ。内ゲバだ。だから成長できないんだよ。
「トレインスポッティング」とは電車の型を当てるという意味らしいが転じて、暇人って意味合いがあるらしい。
本質的にこいつら、本当に成長してなくて、本編中もほとんど変わってなくてそこがささった。
SNSもドラッグと一緒。情緒がないと切り捨てる。初オナニーから死ぬまでアップし続けるんだろ!と謎の怒り。
ノスタルジアで、ストーリーは相変わらず勢いだけで、音楽(イギー・ポップはもちろんだが、エディンバラ出身のYOUNG FATHERSの楽曲最高!)と映像(極彩色なトリップ場面だけじゃなくエディンバラ城や街並みは美しく、特にArthur's Seatでジョギングする場面すごい)だけで、ここまで演出してすごいと思わせるボイルはやっぱりすごい。レイブの闇に飲まれ、階級社会に完膚なきまでに叩きのめされる。何も残らない。そこが素晴らしい。成長できなくても、足掻き続ける勇気がもらえるドラッギーな中年青春映画でした。
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