木蘭

インディ・ジョーンズと運命のダイヤルの木蘭のレビュー・感想・評価

4.0
 ハリソン・フォードの終活映画は信用出来る。

 監督が代わった分、シリーズの要素をなるべく取り込んで雰囲気を出そうとしているし、アクションもスリリングだし、人もバンバン死ぬ。
 映像もわりかし凝っているし、1969年の再現も楽しい。

 ただ、いまやCGで若かりし頃のインディの姿だの何でも作れてしまうのだが、1944年を舞台にしたオープニングのアクションが今一つなのは、やっぱりこのシリーズはアナログ感が似合うよな・・・と実感。
 それと、テーマソングが流れた時の高揚感を感じさせる様な演出のメリハリが希薄。

 また、20世紀初頭のパルプフィクションや冒険活劇を'80年代に蘇らせたのが『レイダース』だったが、15年ぶりの新作という事もあってか、あの当時は気にならなかった価値観や表現の差違も浮き上がってしまう。
 ナチ相手なら何やってもいいんだろ?ってな荒技だし、ドイツもアメリカも人類の遺産なんかお構いなしで戦利品としか思っておらず(その辺は批判的に描いてもいるのだろうが)、やっている事は盗掘に略奪に破壊。
 他のキャラは墓荒らしなのでそれで良いとして、片棒を担ぐジョーンズ博士は考古学者なのに、遺物に対する敬意とかは皆無だし、古代語は堪能なのに、現代ドイツ語は片言も喋れない英語オンリーの人って・・・。

 『スターウォーズ』と同じで、元々がジャンル物のB級映画を大作映画として作ろうというコンセプトなので、勢いやキャラの魅力はあっても物語は定型で緻密とは言い難いのはお約束だし、あまりツッコミをいれても野暮なんだが・・・21世紀の新作となると、雑な'80年代当時は気にならなかった様なツッコミどころはあるよね。

 それでも楽しめたし・・・ヘレナを演じるフィービー・ウォーラー=ブリッジが超キュートだったのと(相棒のクソガキは可愛く無かったけど)、ラストにメソメソしちゃったので得点は高め。
木蘭

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