filmaholic

3月のライオン 前編のfilmaholicのネタバレレビュー・内容・結末

3月のライオン 前編(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

神木隆之介君ほど映像になったら本人らしさが消える、いい意味で化ける俳優はなかなかいないって毎度思う。
制服も叫んだり天然だったり一生懸命だったり弱かったり強かったり。色々な役があるけど、一瞬たりともあの時のあの役に似てるな...がないすごい俳優さん。
ほんとに桐山零でいようとしていた、原作に忠実にとか真似てるとかではなく。
そうあることで、周りの棋士も存在感が際立っていたな。
セリフというよりも指先や呼吸、目や肩、眉間での演技が多くて、心の声も変な説明くささや文章感などの無駄もなかった。

原作読んでると島田八段や二階堂がどんな体調か、宗谷名人がどんな状態か、後藤さんが奥さんの手をどんな思いでマッサージしてあげているか、それぞれどれだけの期待や思い、重荷を背負ってるか、将棋でどれだけ犠牲を払い、それでも将棋と向き合ってきたか。
が、俳優さんの演技によって大きな魔物となってカメラの向こうから観ている自分の心に深く突き刺さる。

零と二階堂の関係、特にテレビを通しての絆の描き方がすごくよかった。
あと、有村架純さんのSK Ⅱにも驚いたけど清純派からの脱却、伊藤英明さんの海猿などのイメージからの脱却、佐々木蔵之介さんの島田八段にしか見えようのない目の窪み、しわ。がたまらなく良かった。

聖の青春とは違った位置にいる染谷将太さん見事です。
後編も、祈るように、零と一緒に深呼吸しながら観たいと思う。
filmaholic

filmaholic