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ドラゴン・タトゥーの女のEyesworthのレビュー・感想・評価

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)
4.4
【消せないタトゥー】

デヴィッド・フィンチャー監督、ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ主演のスウェーデンが舞台の猟奇ミステリー。原作小説の『ミレニアム』は、スウェーデンのジャーナリストで作家スティーグ・ラーソンによる、「ドラゴン・タトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる狂卓の騎士」からなる推理小説である。なので当初は三部作での興行が構想されていたが実現には至らずとのこと。

〈あらすじ〉
大物実業家の不正を暴くも、名誉棄損で有罪判決を受けたジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)はやるせない毎日を送っていたが、40年前にスウェーデンの孤島で起きた未解決の少女失踪事件の調査依頼を受ける。やがて彼は、背中にドラゴンのタトゥーを入れた天才ハッカーの女リスベッド(ルーニー・マーラ)と手を組み、真相を追う。そしてその過程で、彼女の暗い過去に触れることになる…。

〈所感〉
デヴィッド・フィンチャー監督の作品の中では、『セブン』のような聖書に準えた猟奇殺人系であり、『ゾディアック』のような緻密な調査が売りの高密度で上質なミステリーだった。 序盤から登場人物が多くて見ている我々もプロファイリングしないといけないくらい複雑に感じて、途中でついて行けなくなった気もしたが、後半でミカエルとリスベッドが手を組んでからは、しっかりと謎が回収されていくので真相に迫るにつれて面白さが増していく。何より、いつも可愛い穏やかな役柄が多いイメージのルーニー・マーラが、今作ではパンクな見た目のクールな女性を演じていてその振り幅に魅了された。ルーニー・マーラの体を張った演技にも注目。Led Zeppelin『Immigrant Song』で始まるホットなオープニングから、リズベット視点の切ないエンディングまで長尺気味だが作品として飽きさせないような作りがなされていて流石フィンチャー監督という感が深まった。
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