皿と箸

オクジャ okjaの皿と箸のレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
4.0
安直な見方をすると単なる環境問題、食肉産業批判になりますが、最後に結局金と命の取り引きをすると言うところまでが一つの円環になっているのがポンジュノらしいなぁと思いました。

個人的に妻から環境問題、食の問題、アニマルウェルフェアの問題を教えてもらい、今年から夫婦でヴィーガン(私達の場合はペスカタリアン)になり思うのですが、結局全く動物性のものに関わらないで生きていくと言うのは不可能です。
同様にあらゆる事が自分が批判している対象によって成立しています。

そこでニヒリズムに陥るのではなく、
自分の行動を変えていけるかが問われていると思ってます。

よくそれがダメなのにこれは良いのかよとか、人間は古来から動物の肉を食する事で進化し、等と批判してくる人がいるのですが、本質的にその指摘は間違っています。

問題の本質はバランスです。

地質学では人新世(地球の地表面に人間の痕跡が無い場所が無い)と呼ばれるフェーズに入り、人間が存在する事で世界の調和が乱れている事は明らかです。

私達は過剰さの中に生きており、
私たちが過剰に生きられる理由は、
どこかの誰かが犠牲になっているからに過ぎません。
犠牲になる側になる順番がまだきていないだけです。

この映画を見て、オクジャやスーパーピッグを擬人化して共感した人が殆どだと思いますが、元々人間には人間以外のものを人間に見立てて愛するという能力があります。
非人間中心主義は人間的なのです。
その証拠に、豚を食べれる人はいても豚を殺せる人はあまりいないのです。
逆に人間中心主義は非人間的にならざるを得ず、社会に閉ざされて世界に目を向けられていない状態だと言えます。
皿と箸

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