菩薩

波のした、土のうえの菩薩のレビュー・感想・評価

波のした、土のうえ(2014年製作の映画)
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復興の為の盛土による嵩上げは、同時に津波により全てをさらわれた故郷の葬いでもあると言う捉え方。次なる災害への備えであると共に多くの命が流された土地にそれでも残る記憶の痕跡すらも覆い隠してしまう行為に対する戸惑い、それでも前に進まねばならぬ歯痒さの様なもの、一面に咲き誇る花達は最後の抵抗にも思えるし、種を撒かずにはいられない人間のサガと、潮を被っても尚芽吹く生命力そのものを誇示している様に見えた。洗っても洗っても零れ落ちる砂、画面の中では在りし日の微笑みが光る。震災ドキュメンタリー作家として、その寄り添いの覚悟として必要な過程。
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