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マンチェスター・バイ・ザ・シーのadeamのレビュー・感想・評価

3.0
アカデミーで脚本賞を勝ち獲り、心に傷を抱えて不器用に生きる主人公を好演したケイシー・アフレックにもオスカーをもたらしたヒューマンドラマの秀作。
便利屋として暮らす孤独な男が兄の死をきっかけに故郷に帰ってきたことから、死後の身辺整理に追われながら甥っ子の後見人として面倒を身始める物語です。
淡々と日常を積み重ねていく語り口には説得力があって良かったですし、随所に挿し込まれるフラッシュバックは、あえて過去とは宣言せずともそこにいる人いない人と空気感によって時間軸を理解させてしまう巧みな演出だったと思います。
それだけに中盤で描かれる重要な事件の大げさな演出には違和感が拭えませんでした。
他のシーンのようにさりげなく描くか、いっそ直接的に場面を見せることはせずとも観客にそれと理解させるような映像的な工夫をしてほしかったです。
主人公には同情できる部分と擁護できない部分があったので、安直な結末に至らなかったことには納得感があって良かったと思います。
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