夜

マンチェスター・バイ・ザ・シーの夜のレビュー・感想・評価

4.0
過去を引きずったリーと、みなし子になってしまった16才の兄の息子の話。子どもではないけどまだ一人にはさせておけない年頃。兄の心臓に疾患があったことは分かっていたので実際に亡くなる前から心の準備はできていたんだろう。そのつらさや寂しさを二人のガールフレンドで埋めてなんとか平静を保とうとしている。正面から現実を受け止めたらきっと壊れてしまうかもしれない。思春期の男女交際をコミカルに描きながら、冷凍庫の前でパニックを起こす姿には胸が痛くなった。その後の男同士の(リー特有の)距離感で前向きにはたらきかけるところも良い。
リーは悪い奴ではないけど愛想がなくて短気なので厄介者扱いされている。傷は癒えることはないかもしれないけれど、それでも生きていく以上は生活を続けなければならない。幸せになるなんて、まだ彼には考えられなかったとしても。
最後、やっと兄を土に埋めてあげることができてこれで少しでも二人の身も心も落ち着いたらいいなと思った。
夜