ジョージ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのジョージのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

この作品で描かれたもの、それは一言で言えば「男」だ。最初のシーンで登場する海に惹かれた3人の男たち。この3人の男を巡って物語は展開していく。
便利屋として人が嫌がることも厭わず、与えられた仕事を誠実にこなすが、客の言動に時々切れる男。
風邪で寝込んで嫌がる妻にも甘えて抱擁を求める男。
弟思いでいつも弟のことを気にかけ、世話を厭わない兄。
その兄の死に直面し、悲しみの中で、兄の息子の後見に兄の遺言によって指定され、戸惑う男。
その戸惑いの裏にある、過去の「罪」から逃れられず、いつも悲嘆の底にあって心を閉ざす男。
他方で、何も語らないが、その実、兄の息子を愛してやまない男。
父の死後間もないのに、ガールフレンドにセックスを求めずにいられない息子。
などなど、書き出せば切がないが、男なら、そうした登場人物のどこかに自分自身を投影するところがあるのではないだろうか?

この映画の山は、言うまでもなく、主人公リーと元妻ランディが再会するところで交わす言葉だ。おそらくこのシーンでの言葉の感じ方は、男と女では少し異なるのではないだろうか?
リーのどうにも言葉にならない、どうにも説明の仕様のない感情、しかしどこかに愛を感じさせる様子に、一気に涙が溢れてくる。二人の見事な呼吸と演技に本当に感動した。

海は男の心を知っている、というところかな?