けーはち

ウインド・リバーのけーはちのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.8
ワイオミングの雪深い山間のインディアン居留地ウィンド・リバーで起きた強姦殺人事件を、ジェレミー・レナーとエリザベス・オルセン、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のホークアイとスカーレット・ウィッチ師弟(?)コンビが追う!

居留地では差別に根ざした不条理が横行し長年の社会問題ながらも特区であることによる連邦と州のしがらみが解決を許さない。そんな地の「実話」に基づく本作。原住民と家庭を成した(ある事情から離婚)スナイパーがフロリダ生まれのノホホンとした新米FBI女捜査官を案内、陰惨な事件の真相に迫る現代の西部劇とも言うべきサスペンス・スリラー。雪上の足跡からさまざまな情報を得るスナイパーの渋い視点に唸らされつつ、真夏に全編雪原だらけの画面を眺めることで納涼もかねる佳作。

もっとも見せ方はなかなかにうまいものの、そんなにワ~ッと盛り上がるような作品でもなく、悪党もショボいクズのクソ雑魚野郎、しかし社会派に全振りしたわけでもなくインディアン居留区を問題にしながら主人公は有名な白人俳優だし娯楽作品的なバイオレンス・アクションやメロドラマちっくな演出も多々なので、そこは興業としてバランス取りに苦労した結果かしらん。