さすらいの用心棒

ウインド・リバーのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.0
ネイティブアメリカンの居留地“ウインド・リバー”で見つかった少女の死体。新人捜査官と地元のハンターが共に事件を追うが、やがて社会の闇が浮き彫りとなる─────事実に基づく物語

トランプが尊敬しているというジャクソン大統領は、ネイティブアメリカンを強制移住させ、彼らの土地を白人に解放したことで歴史に汚点を残している。その汚点はネイティブアメリカン居留地となった土地のひとつ”ウインド・リバー”に今もなお引き継がれている。

鹿児島県と同じ大きさの土地に、警官はたったの6人。ネイティブアメリカンが犯罪被害者となる割合は全米平均の2.5倍から4倍。平均寿命は49歳。

ここでの叫びは、誰にも届かない。

近代国家とは思えない無法地帯をつくりだし、放置している国の責任を追及するだけでなく、その憤怒を極上のエンターテインメントとして落とし込んでいる。

バイオレンスかつ知的なシーン、そして洗練されたセリフの数々。さらにミステリとして成立した精緻な脚本。これは傑作ですよ。ずっしりとくる映画です。