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太陽の蓋のkiritoのレビュー・感想・評価

太陽の蓋(2016年製作の映画)
3.7
【2011年3月11日14時46分】

「何か起きてるんじゃないですか?…例えば…原発とか…」

限定公開中の90分再編集版を鑑賞。2016年にこの作品があったことすら知らなかった。師匠に聞いたらユーロスペースとかでかなり短期間でしかやってなかったらしい。「ドキュメンタリーならまだしも劇映画としてはまだ早い題材っていう風潮があった」らしいが、確かにそうかもしれない。

最近深夜に映画を観ていると緊急地震速報が流れてビクッとすることが多くなってきた。567の最中に地震が来たら本当にまずい。

政治部の記者鍋島の目線で、官邸と作業員、記者、住民とを交互に写す問題作。

メルトダウン、ベント、水蒸気爆発、シーベルト、セシウム、計画停電…あの頃は1日1日が恐怖の情報に溢れていた。

当島は八王子に住んでいて計画停電の影響をモロに受けた。信号も付いていない夜の闇。
放射能が出てるから外に出るなと言われたが、(制限はありながらも)いつも通り動いてる社会があって、太陽が輝いていて、目に見えない放射能は本当にいまこの大気中にあるのかと空を見上げたことを思い出す。

この映画では政府自体に情報が上がってこない状態が描かれていて、現場との連絡が結局民間企業の本部を通してなされていたことなど(本当かはともかく)そういうこともあったのだろうという描かれ方をしている。

当時の民主党政権の危機管理能力が問題になったが、今の政権から発信される情報もどこまでが本当なのか結局はわからない。

福島原発の事件はいまだ解決していない。原子力発電所が存在する限りこの国は時限爆弾を抱えている。

2020.5.6
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