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淵に立つのdarumaのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.2
凄かった…深田晃司監督、好き。

最初は前科者が浮かび、途中、三浦綾子の氷点みたいな感じかな…?と思ったんですが、想像の上を行きました…

原罪、というか。
業 か?
でもなんかそれとも違うような…

プロテスタント、奇しくもちょうどベルファストを観たばかりなので、なるほど…と思ってしまった。
この設定がめちゃくちゃ活きていると思う。
信心深い、という所が。

キリスト教の教えで、片頬だけでなく両頬を…みたいなの、ありませんでしたっけ?
「右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ」か。なるほど。
単純に「目を覚ます(自分自身の罪を正す)」という意味で叩いていたのかもしれませんが…

筒井真理子さんが出てくると不穏な感じしかしないんですが(先によこがおを観てしまったせいもあるかも)、
一番怖いのは古舘寛治さんだったということでしょうか…
淡々としている感じ(は元々その雰囲気を持った役者さんですが)の中に潜む、凶暴性(それは誰もが持っている普遍性のあるもの)が見事。

よこがおはこの設定が引き継がれてるのかな?(ということがこちらを観てわかりました)

三浦貴大さんが一瞬出演されていたんですが、彼も何かを引き継いでいたのでしょうか…?それとも単なる脇役だったのかな?
それとともに太賀くんが出てきて、ここからガラッと色が変わるというか、凄いな!と思いました。
彼は古舘さんとは逆に、悪意の無さがめちゃくちゃ合っている。

浅野忠信さんも不穏な感じが似合いすぎる…

キャスティングが絶妙。

深田監督は構図がとても映画的というイメージがあるのですが、本作は、食事のスピードが印象的だった。(台詞にもあったが)
彼だけでなく他の3人も、ああいう何気ない事にその人そのものが表れているような気がする…現れてしまうというか。
それを見事に切り取っていた。
あとは色。

最初はよくある感じの不倫ものかと思いましたが、結構ズシッとくる系です。深田監督も濱口竜介監督と同じで、一度観ただけでは咀嚼しきれない系かもしれない…さすが一緒にミニシアターエイドの活動をされていただけありますね。
深い作品が好きな方におすすめ。
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