オトマイム

祭りと招待客/パーティーと招待客のオトマイムのレビュー・感想・評価

4.3
怖い怖い…そしてとんでもなく面白い。チェコ・ヌーヴェルヴァーグの底知れなさ。直前にザザーッと仕入れた知識ですが、本作はまだ社会主義体制下にあり、民主化運動が高まりを見せていた1966年の作品。この頃新しい波としてチェコ・ヌーヴェルヴァーグの作品が次々と生まれた。だからおそらく検閲を意識して暗喩に満ちている。

序盤いきなり拉致されて薄ら笑いを浮かべながら御託を並べられるシーンなど、これはホラーかっ⁉︎と思うほど怖かった。もちろんホラーじゃないし、直接的な暴力とか流血はないけれど。全体主義の恐ろしさの暗喩。不条理極まりない。

不条理といえばカフカ。カフカもチェコ出身だ。何かチェコには、声高にではなく小声で、直接見えないところからじわじわと主張してくるような粘っこさがあるように思える。とにかく一度観たら忘れられない作品。強烈。