たった冒頭の3カットだけで、ショットと編集による時空間の変容に多大なる才能を感じさせる監督というのは間違いなく存在し、このメキシコの監督はまさにその非凡な才能を一切の隙を見せることなく映画を作り上げている。無音の中、ただガンマイクを持ちながら歩くラストカットのキレやばい。天才。

映像の奥深さ。これを理解するにはまだ自分は早かったかもしれないが、映像には、映る対象を切り取って構成するという行為だけでアートにしてしまう力がある。
淡々とモンタージュを重ね、子どもの表情を切り取るだけで人間と動物と自然を紐付けてしまっている。不穏な音楽の使い方でこの映画の見方を決め、ラストシーンで無音の中ガンマイクを持ち歩く子どもで終わる。人物の動線とモチーフの配置が超シンプルながら天才的で、鶏を置いてカメラから直線上に離れていく子どものシーンもかなり唸らされた。

2020 #113

この映画はすごいです。
人と同等に自然や動物を切り取ることができる。少年の深い悲しみが宿る表情、それを完璧に捉える。映像によってその想いをダイレクトに浴びる。これはすごい。