アキラナウェイ

ロスト・バケーションのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ロスト・バケーション(2016年製作の映画)
3.8
最近は頭がいくつもあったり、空から降って来たり。サメ映画の進歩は著しい。

個人的には怖がりの痛がりですから、サメ映画はジョーズ以来の2本目です。

シンプル イズ ベスト。

無駄を省いたプロットが根源的なサメの恐怖を際立たせる、なかなかの良作です。

亡き母から教えてもらった秘密のビーチを訪れた医学生ナンシー(ブレイク・ライヴリー)。日頃の悩みから解放されるかの様にサーフィンを楽しむナンシーだが、人喰いザメに襲われ一転窮地に立たされる。

面白いのは一度目のサーフィンと二度目のサーフィンとの対比。ナンシーの心情と周りの情景と音楽を、ガラッと変えて対比させる監督の手腕。上手い!

86分という短尺の中で、ナンシーの人物描写はスマートフォンによる家族との会話でさらっと見せてしまう。

亡き母への想い
父との確執
医学の道への迷い

一度目と二度目のサーフィンの間での父との会話で垣間見えたナンシーの内面。周りの情景も不穏な空気に包まれていく。

サメに襲われた後、何とか小さな岩場まで辿り着いたナンシー。

潮の満ち引き=「時間」
岸やブイまでの距離=「空間」
それらを駆使した見せ方がまた俊逸。医学生設定も生きてくる。文字通りナンシーの一人舞台で、サメとの完全なる一騎打ちに胸が高まる!

美しくも逞しいブレイク・ライヴリーが印象的。

何とライアン・レイノルズの奥さんだそうで。何ともうらやまけしからん!

サメ映画初心者も安心して観れる優等生的サメ映画でした。