前作「ブレードランナー」は誰も見た事がなかったテクノロジーと混沌が入り交じった未来イメージによってカリスマムービーとなっていましたが、以降そのイメージに影響を受けた攻殻機動隊などの数々の作品群によってその退廃した未来イメージは今やありふれたモノになっています。そんな流れの中で、カリスマの直系として製作された本作の未来像にはやはり既視感が多く新鮮さはありませんでした。映像の雰囲気は全体的に押井守の「イノセンス」と重なる気がします。そのように今や当たり前になっている前作「ブレードランナー」の様式をあえて採用している本作ですが、重厚な世界観で表現される映像の美しさやそれに響き合うような音楽によってかつて無いクオリティのカリスマ直系にして王道のSF映画になっていると思います。
ストーリーに関しても人間とは？レプリカントとは？というような前作「ブレードランナー」以降のフォロワー作品群によって繰り返されてきたテーマであり、そこの哲学性とかも含めて新鮮さや斬新さは無いです。
それでも初見ではとても理解しにくい構成でしたが、その中心には非常にシンプルな「愛」というテーマがはっきりとあるあたりも含めて、本作に王道たる様式美と骨太さを感じました。
ただ、途中からトイレに行くのを我慢しながらの鑑賞で気がそぞろになってしまったので、トイレ休憩欲しかったな、っという分で☆を一つ減らしました。
