MikiMickle

ブレードランナー 2049のMikiMickleのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0
前作の舞台2019年から30年後の世界。
カリフォルニア郊外の農地で、ロサンゼルス警察に所属のブレードランナーのK(ライアン・ゴズリング)は、旧型のレプリカント(人造人間)で軍から脱出したサッパー(デイヴ・バウティスタ)を抹 殺 する任務を成し遂げる。
しかし、Kもまた新型のレプリカント。同胞が同胞を抹 殺 する。そこに悲しみはない。なぜなら任務だから…
富裕層が地球外に出て貧民で溢れかえる世界では、自我が芽生えたレプリカントへの恐怖ゆえに、人類至上主義が横行し、Kも“人間もどき”と敵対視され差別を受ける。
そんな彼の唯一の癒しは、AIでホログラムでしか姿を現す事のできないジョイだけだった…
そんな中、サッパーの農地に立つ枯れた老木の下から、丁寧に埋葬された人骨が発見される。
その正体はレプリカント。
そして、その身体には、ある事実が……
Kの上司であるジョシ(ロビン・ライト)は、人間とレプリカントの危うい関係を危険に思い、その骨のルーツを探る使命を与える。

Kが向かったのは、レプリカントを創設したタイレル社を買収したウォレス社。科学者である盲目のウォレス(ジャレット・レト)は、まるで自らを神の如く、新しいレプリカントを生みだそうとしている。そんな彼が“天使”と呼ぶレプリカントのラヴ(シルヴィア・フークス)は、2022年の“大停電”でほとんどが消滅したデータの中から、30年前に行方をくらませた旧型レプリカントとブレードランナーのデッカード(ハリソン・フォード)の音声を見つける……

警察とウォレス社が双方の思惑で捜査を進める中、
Kはだんだんと人間の命令ではなく、己のアイデンティティのルーツを探る事となっていく……

ネタバレになるのでストーリー紹介はここまで。


これはきちんとした続編である。
前作の世界観や細かなディテールを出しつつ、かつ、それをもう一度焼き直して継承していると思う。蜂しかり、折り紙の羊しかり、人物の個性しかり。(とはいえ、前作に関しては忘れている所がかなり多いので細かな事は言えない。今週見返す。)
金字塔と言われる前作の続編と言う事で、計り知れないプレッシャーと葛藤があったことだろう……
しかし、続編でありながらも、しっかりヴィルヌーヴ監督版ブレードランナーとして出来上がっていると思う。
前作抜きにして、きちんとした1本の作品。ゆえに、なるべく今作だけの感想を述べる。というか、前作よりも劣っているとかの事で映画を比較したくない。それは常に。

まず、人類の終末前夜とも言える世界観が見事に映像に表されている。雑多なビル群の細い路地の猥雑さ。前作同様、オゾン層が破壊された為に雨とモヤの中、日本語やアジア系の文字の欄列する怪し気なネオン。冒頭の上空からのアングルではその猥雑さよりもマス目のような街並みに統率化に失敗した虚無感を感じる。

オレンジと黄金のウォレス社は、繁栄は感じるものの人間味の無さが際立つ。きちんと区分けされ統治されているその無機質な恐ろしさだけでなく、ビル群との共通点も感じる。(長年開けていなかった扉もきちんと開かないようなゴミばかりの部屋は、ネオン街のレジスタンスの暗喩であると思う)

そして、今や広大なゴミ廃棄所と化したサンディエゴ。グレーとサビの世界。巨大なパラボラアンテナを逆さにした場所に生きる人々と法の届かない闇…
赤茶色の砂塵で覆い尽くされる核物質で汚染されたラスベガスの悲しき繁栄の跡地。そこで生きるものの命もまた…。

前作では雨で表現されていたものが、違う形でまた虚無感と悲しみを表わしている。

が、やはりもちろん、雨や水もそうだ。雨で流されるのは癒される事のない傷と血。人間ではないジョイの手の甲に打つ虚しい波紋…度々流れるラヴの涙…
ウォレス社の未来的な世界での水はあくまで計算されている無機質なものであった。しかし、人類が太刀打ちできなかった海(街と海とは高い塀で遮られている)での死闘は、人間やそれの創造したレプリカントの力では及ばない恐ろさと、飲み込まれて新たに再生する羊水のようでもあった…新たな生命  そして、雨の後の雪‥‥

そう。この映画で感じたのは“産まれる”という事。この映画のテーマの軸である“生まれる”事。レプリカントとしてこの世に出てきたK。前述したように、彼は己の生のルーツを探っていく。植え付けられた記憶の元に…
上からの押さえつけられるような重低音の中、見つけたものは…そして、その先にあるものは……

涙がこぼれる。アンドロイドの気持ちが、胸に突き刺さる…特にKの心情を思うと……
誰しも、特別でありたい。人らしく生きたい。しかし、人間らしく生きたいって何だろう…全く人間味の感じない近未来の人間世界の中、叶わないものを求める作り物の生命の儚さと、微かな希望。そしてその尊さ。

ごめんなさい。眠過ぎて眠過ぎて…全く上手くまとめられないし、言いたい事も肝心な事も全然言えてない…頭ぐわんぐわん(笑)ホログラムのAIジョイだの、登場人物についても述べてないけど、まぁ、それは見てのお楽しみという事で……
MikiMickle

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