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ブレードランナー 2049のhi1oakiのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.2
自分にとって近未来SFの源流は「アキラ」で、そっちに非常にのめり込んだもので、同時代に産まれた「ブレードランナー」の方にあまり思い入れは無いんです。漫画版「アキラ」の連載開始と映画「ブレードランナー」の公開はどちらも1982年。どちらもメビウス(ジャン・ジロー)やシド・ミードの影響下にあることと、物語の舞台が2019年であることは共通していますね。
自分はとりあえず“フラットな目線で観て面白いのか”というサンプルとして、SFの教典になっているとも言える前作(ファイナル・カット版)をあえて1回しか観ていない状態でこの続編を鑑賞してみた。加えて“なんならいきなり今作を観るってのはどうなの”という点に注目してみました。(当然、あくまでも個人的な見解であることはご了承ください)
まずね、結論からと言うと面白い。小難しくもなく最後まで観れば容易に理解できるストーリーだと思います。もちろん深掘りすれば色々あるんでしょうけど。
“前作を観るべきか問題”については、まぁ観てなくてもわかるっちゃあわかるけど、なんつうかそれじゃもったいない。ゴズリングやアナ・デ・アルマスのご尊顔を拝めれば満足という人以外は、とりあえず1作しかないんだから観てから行きましょうよって感じ。
もし前作公開当時にヒットして、すぐに続編が作られたとしたら「エイリアン」→「エイリアン2」みたいなSFアクションエンタメとしての進化の可能性もあった作品ですよね。初公開時にコケて後年ジワジワとカルト化していって35年経った今、それはそれは慎重に作られたのかなという印象。“ブレード・ランナーという映画はカッコよくなくてはいけない”という呪縛のもと、それはそれはカッコよく作られています。隙がない。
しかしそれでいて“持たざる者”の身も蓋もない情けなさと悲哀も描いているのが、この続編の素晴らしいところ。“カッコよさ”の裏側も見せているわけですからね。
上映時間が長くて、決してテンポが良い作品ではないのですが、凄すぎるサウンドプロダクションが映画全体を牽引していくので、最低でもサラウンドな環境がある“映画館”での鑑賞をオススメします。
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