ちろる

カフェ・ソサエティのちろるのレビュー・感想・評価

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)
3.7
映画やショービジネスが中心だった1930年代のハリウッドとNYを舞台にしたちょっぴりビターな大人の青春ストーリー。
時代もシチュエーションも違うが構造は「ラ ラ ランド」と少し似ている気がした。
右も左もわからないおぼこいボビーを演じたジェシー アイゼンバーグ、さすがですね。
彼の出で立ち話し口調はたしかにウッディ アレン作品にはぴったりハマる。
純朴で成功した大人たちの間に飛び交うゴシップや地に足のつかないような成功話に嫌気が指してハリウッドから逃げ出すような青年が、いつのまにか故郷のNYでは華やかな世界や裏の世界の大物達を相手にするカフェバーのオーナーとなって行く変化を見事に演じるジェシーの演技を観るのがとても楽しかった。
アメリカの華やかな世界の上澄みだけをすくい取ったようなシークエンスにうっとりしつつも、どこか張りぼてのような居心地の悪さも感じるのは主役のボビーの立場がどんなに変化しようとも、中身はオープニングのおぼこい青年のままだったからなのかも。
どんなに地位と名誉がある華やかな世界の人たちだって、蓋を開けてみれば実は結婚も恋愛も一般人と変わらないあーだこーだを繰り返す。
ボビーの初恋の相手であるヴォニーを演じたクリステン スチュアートの女特有のズルさも彼女の私生活を重ね合わせてみればかなりしっくりきて面白いし、ブレイク ライヴリーの知的な美しさは最後までうっとりとする。
何か特別な事が起こるわけではないけれど、キャスティングのセンスの良さと、ジャズや当時のクラシカルなファッションなど1930年代のハリウッド黄金期だった良きアメリカのお洒落な雰囲気にうっとりと浸れる作品。
夢は夢のままで、、、。ね
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